発達のつまずき、乗り越えるヒント

知能検査(WISC)は誰のためのもの? 〜教員の都合で実施してはいけない理由〜

2026年09月13日 19:07

時々、保護者が希望していないのに、学校側から『こちらで環境を用意するから、WISC(知能検査)を受けませんか』と提案するケースが存在します。しかし、それは本当に保護者と、何より検査を受けるお子さん自身にとって必要なことなのでしょうか?検査を取る心理士の職域を軽々しく侵害している態度であることに、先生方は気づいているのでしょうか?


「先生が知りたいから」で受けていませんか?

現場の先生方はとても真面目で、「目の前のお子さんをなんとか支援したい」「WISCで得意・不得意を見える化して指導に活かしたい」という熱意を持っています。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。 「教員が支援方法を知りたいから」という理由だけで、保護者や本人の意向を置き去りにして検査を進めてしまうケースが見られることがあります。


心理検査は、教員の都合やニーズを満たすための道具ではありません。

かつてあった「検査の軽視」と検査資格厳格化の背景

かつて情緒障害等通級指導教室があちこちで開設されたばかりの頃は、備品としてWISCなどの検査キットが購入され、若い教員が実践を通して検査スキルを身につけていた時代がありました。

しかし、「検査」に対する慎重さや意識の低さから様々な問題が起こりました。

  • 検査結果や個人情報の不適切な扱い

  • 良い結果を出そうとして事前に保護者や本人に検査内容を練習させてしまうといった過誤

ネットで検索すると実例がいくつか出てくると思いますので、ここでは詳しく触れません。

このようなことが続いたために本来の正確な検査結果が得られないばかりか、検査そのものの信頼性を著しく損なう事態が生じたのです。こうした反省から、現在では心理検査の実施者資格や倫理基準は非常に厳格に管理されるようになりました。

「覚悟のない検査」は百害あって一利なし

本来、公的機関や病院でWISCを受けようとすれば、何ヶ月も予約を待ち、費用や時間の負担を覚悟した上で「我が子のために活かそう」と保護者が主体的に臨むものです。

一方で、保護者自身が我が子の困り感に向き合っておらず、「学校が無料でやってくれるなら、どうぞご勝手に」という意識のまま検査を受けてしまったらどうなるでしょうか?

結果が出ても「勝手にやったことでしょ」と受け止められず、支援につながりません。これでは時間も労力も無駄になり、本人や家庭にとっても「百害あって一利なし」です。

心理士など専門職の知識やスキルは、教員の依頼に無条件に応じるための無料サービスではありません。保護者への十分な丁寧な説明(心理教育)や受検への同意がないまま教員の都合で進める検査は、お子さんやご家庭への「人権侵害」にもなりかねないのです。

WISCは、ご家庭が幸せに生活するための「ヒント」

WISCをはじめとする知能検査は、教員が指導案を書くためのツールではありません。 保護者とお子さん自身が、自分たちの特性を受け入れ、これからの生活を前向きに乗り越えていくための「幸せのヒント」を得るための大切な資料です。

たとえ保護者の方がすぐには状況を受け入れられなかったとしても、家庭側のニーズや意思が整うのを待つことが第一歩です。先生方におかれましても、教員側の都合だけで検査を急がせることのないようご理解いただきたいと切に願っています。

お困りの保護者の方がいらっしゃいましたら

「学校から検査を勧められたけれど戸惑っている」 「我が子の本当の強みや課題を知り、これからの子育てに活かしたい」

もしそのようにお悩みの保護者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度「たまっ子ふぁん教育相談室」にご相談ください。

当相談室では、ご家庭の気持ちにしっかり寄り添い、検査結果をお子さんの未来と幸せに直結させる丁寧なカウンセリングを行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。