
発達性協調運動症(DCD)が“あまり知られていない”教育現場の現実
2026年02月22日 21:05
― 小学生になったら困りごとが消えるわけではありません ―
「発達障害」という言葉に、どうしても違和感を覚える方は少なくありません。
私自身も、できれば使いたくない言葉です。
そのため現在では、より正確な概念として神経発達症という呼び方が主流になりつつあります。というと感情論のようですが、2013年のアメリカ精神医学会(APA)による診断基準「DSM-5」の改訂によって「神経発達症」カテゴリーが採用されたことが大きな転換点です。それまでの「発達障害」が「神経発達症」へと呼び名を変え、脳の情報処理の特性による体質的なものと認識されるようになったとのことで、既に10年以上も前から「神経発達症」という言葉が正しい呼称とされていたようですね。日本で一般に広く知られるようになったのもちょうどその頃だったと思いますが。
呼び方はどうであれ、ADHD(注意欠陥多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、SLD(限局性学習症)といった特性は、今や多くの人が知る一般的な知識になりました。
ところが――。
■ なぜDCD(発達性協調運動症)だけが知られていないのか
同じ神経発達症のひとつであるDCD(発達性協調運動症)は、驚くほど認知されていません。
「不器用な子」「運動が苦手な子」と片づけられてしまい、特性として理解されないまま成長していくケースが非常に多いようです。
幼児期には、保護者の方が療育を受けることを選択すれば、作業療法士による感覚統合や身体の協調性を高める支援が比較的受けやすい環境があります。
ところが、小学校に入った途端――
DCDに対する支援の場がほぼ消えてしまうのが現状です。
なぜなのか。
「小学校入学前に基本的な運動能力は発達しきる」という前提が、いまだに根強く残っているからかもしれません。
■ 小学生になってもDCDは“自然に消える”わけではない

実際には、小学生になったからといってDCDが解消されることはありません。
• ボールが怖くて目をつぶってしまう
• 走ると転びやすい、遅れやすい
• 縄跳びがリズムよく続かない
• 板書の写し書きが極端に苦手
• 姿勢が保てず、すぐに崩れてしまう
こうした困りごとは、本人の努力不足ではなく、神経発達の特性によるものです。
しかし学校では、これらの課題が“支援の対象”として扱われないまま放置されてしまうことが少なくありません。
■ 本来なら通級で扱われるべき領域なのに…
ASDやADHDに対しては通級での支援が広がってきました。
ところがDCDに関しては、通級で感覚統合や身体の協調性を高める練習を行う文化が、まだ十分に根づいていません。
教員時代、私がDCDの話をすると、
• 「感覚統合は不要」
• 「心理士がアセスメントして、作業療法士が練習するものでしょ」
• 「言ったって運動オンチなんだから、他にやるべき支援があるんじゃないか」
といった反応を示す先生に出会うことが多くありました。
しかし、子どもが言われた通りに動けるなら、そもそも支援は必要ありません。
必要としている支援を届けるのが学校の使命のはずなのに、そこに至るまでにはまだ時間がかかりそうです。
■ 「学校で支援が受けられるようになるまで待てない」
そんなご家庭へ
DCDの困りごとは、放っておけば自然に消えるものではありません。
むしろ、学年が上がるほど周囲との差が広がり、自己肯定感に影響することもあります。
もし、
• 学校でDCDの支援が受けられない
• 感覚統合や身体の協調性を高める練習を続けたい
• ビジョントレーニングが必要だと感じている
• 小学生になってからのフォローが見つからない
そんな状況でお困りでしたら、
多摩湖畔通級支援室で感覚統合、ボディイメージの向上、ビジョントレーニングなどの支援を受けることができます。
お子さんの「できない」を責めるのではなく、
「どうすればできるようになるか」を一緒に探していく場所です。